歯ぎしり等の及ぼす影響

「歯ぎしり」や「くいしばりは」ありませんか?

皆様は “歯ぎしり・くいしばり” などはありませんか?

“歯ぎしり・くいしばり” などがある場合には、歯がすり減ってしまったり、歯が割れたり、歯が移動してしまったりといった事も少なくありません。また、顎関節にも大きな負担がかかり顎関節症につながる事もありますので注意が必要です。

また、通常何もしていないとき、上下の歯は接触していいのが正常ですが、歯列接触癖のある場合には、上下の歯の触れた状態でいる時間が多くなります。

この場合にも歯には大きな負担がかかり、歯周病が進行するなど、様々な問題が出る場合があります。当院では、このような「歯ぎしり」「くいしばり」「歯列接触癖」の治療に力を入れており、多くの治療を行っています。

「歯ぎしり」「くいしばり」「歯列接触癖」

歯ぎしり

「歯ぎしり」とは、ご存知のように、主に睡眠中に「ギリギリ」と音を立てて、上下の歯を横にすり合わせるものです。「グラインディング」ともいいます。歯ぎしりのある場合、歯がすり減ってしまったり、歯が割れたり、歯が移動してしまったりといった事も少なくありません。また、顎関節にも大きな負担がかかり顎関節症につながる事もあります。

くいしばり

「くいしばり」は文字通り、上下の歯を「ギュッ」と強く噛みしめることです。「クレンチング」などともいいます。ストレスを感じたときなどにくいしばることも多くあります。この、くいしばるくせのある場合、注意が必要です。歯ぎしりと同様、歯が割れたり、歯が移動してしまったりといった事も少なくありません。

歯列接触癖

通常、上下の歯は、噛み締めていない状態でいるものです。ところが、歯列接触癖は、「TCH(トゥース・コンタクト・ハビット)」とも呼ばれ、通常何もしていないとき、上下の歯は接触していいのが正常ですが、歯列接触癖のある場合には、上下の歯の触れた状態でいる時間が多くなります。通常、1日に上下の歯がくっついている時間は15分程度と言われています。これが歯列接触癖があると、接触時間がとても多くなるため、様々な弊害が出てくることがあります。

歯ぎしり・くいしばりなどの影響

「歯ぎしり」や「くいしばり」のある方の場合、200から300kgにも及ぶ力が発生することもあり、非常に大きな力がかかることから、歯そのものへの影響や、歯が歯槽骨側に押し付けられることによって、血管が圧迫されることによる影響、顎骨側への影響、歯根への影響、全身への影響など、様々な悪影響があることがわかっています。

犬のシェパードの噛む力は200kg程度、サメの噛む力は300kg程度、ライオンの噛む力は400kg程度、といわれています。

これに対して、人間の噛む力は最大70kg程度といわれていますが、これが歯ぎしりとなると、300kg近い力が発生するといわれています。

犬のシェパード、サメ、ライオンなどと比較しても、非常に大きな力がかかることがわかります。

このような非常に大きな力がかかることから、歯そのものへの影響や、歯が歯槽骨側に押し付けられることによって、血管が圧迫されることによる影響、顎骨側への影響、歯根への影響、全身への影響など、様々な悪影響があることがわかっています。

歯の摩耗(すり減る)

特に「歯ぎしり」では、歯と歯をこすり合わせるような動きにより歯が摩耗(すり減る)してしまうことも少なくありません。上下の歯を強い力でこすり合わせ続けると、歯は摩耗して減っていってしまうのです。この歯の摩耗が進むと、歯はやがて平らになり、上下の歯の本来の噛み合わせがずれやすくなります。かみ合わせがずれると、顎関節症などに症状が進行しやすくなります。また、詰め物や被せ物がある場合には外れてしまいます。

くさび型欠損(WSD)

歯ぎしりにより強い力が加わると、歯と歯茎の境目に部分に応力が集中し、歯の根元がくさび型に欠けた状態=くさび型欠損(WSD)になります。
エナメル質が破壊されてしまいますので、象牙質が剥き出しになり、しみやすく、また虫歯にもなりやすくなります。対処法としては、プラスチックで欠けた部分を埋めるという方法もありますが、歯ぎしりの力が強いとまたすぐに外れてしまうため、きわめて短期的な対策にしかなりません。放置していると、虫歯になり、虫歯が神経に届きやすい場所でもあるため、神経が死んでしまうこともありますので早めの対策が必要です。

くさび型欠損(WSD)のでき方の一例

歯根破折(割れる)

「歯ぎしり」や「くいしばり」の大きな力によって、歯の根の部分が縦に割れてしまう(歯根破折)場合があります。この歯根破折は注意が必要です。なぜなら歯根破折を起こした歯は、通常、抜歯となってしまうからです。特に神経をとった歯がある場合には脆いため注意が必要です。

歯の移動

「歯ぎしり」や「くいしばり」の力で歯が移動し、かみ合わせがくずれてしまうこともあります。歯に強い力がかかり続けると、歯が移動を始めます。矯正治療でも、弱い力をかけても歯が移動することからも想像できると思います。歯が移動すると、歯並び全体が乱れてしまい、かみ合わせにも異常が生じ、顎関節症などに症状が進行しやすくなります。

歯周病の進行

「歯ぎしり」や「くいしばり」などにより、歯茎の血管が圧迫され、歯周病の進行の助長につながることもあります。

顎関節症

「歯ぎしり」や「くいしばり」により顎関節に負担がかかることで「顎関節症」へと症状が進行してしまう場合もあります。

首や肩の痛み

「歯ぎしり」や「くいしばり」を放置することにより、頭痛や首の痛みに発展するケースもあります。

腰痛

「歯ぎしり」や「くいしばり」を放置することにより、中には腰痛に発展するケースもあります。

全身の倦怠感

「歯ぎしり」や「くいしばり」を放置することにより、時に全身の倦怠感まで発展するケースもあります。