ドクターより皆様へ

ボトックス治療担当ドクター(非常勤 ※事前に診療日をご確認ください)

略歴など

  • 日本歯科大学卒業
  • 厚生労働省認定卒後臨床研修指導医
  • 日本抗加齢医学会専門医
  • 国際抗老化再生医療学会専門医
  • Medical Training Certificate/TEOXANE LABORATORIES

歯ぎしり、くいしばり、様々な症状にお悩みの方が増加傾向にあります

患者様からの主訴で、「詰め物が取れた」といった不具合を繰り返しているケースがあります。このようなケースの場合、歯ぎしりやくいしばりが原因の場合が少なくありません。歯ぎしりやくいしばりは、スプリントといって、マウスピースのようなもので治療する方法もありますが、治療がうまくいかないことのほうが多いのです。

近年、歯ぎしりやくいしばり、そしてその弊害と思われる様々な症状などでご来院される患者様が増えています。デスクワークやスマートフォンの使用などで、前傾姿勢を長時間取ることで、耳の位置が本来は肩の位置に来ないといけないのに、前傾した姿勢を長く続ける。また、ストレスも関係して、くいしばりや噛み締めが起きやすくなります。このような背景からも、くいしばりや噛み締めは、ある種の現代病ともいえます。

ボトックス治療のメリット

歯ぎしり、食いしばりなどの治療において、ボトックス治療をやるかやらないかは、もちろん患者様の自由です。ただ、この治療について知っていることと知らないことには大きな違いがあります。当院では、歯ぎしり、くいしばりの及ぼす影響や、ボトックス治療について、症状のある場合や、必要に応じて、丁寧にご説明させていただいております。詰め物の脱離、歯周病、入れ歯の痛み、歯根破折の予防がボトックス治療で出来ることをお伝えさせていただいております。

たとえば、噛む力が強い人は、下の前歯が短くなる傾向にあります。そういう傾向があるならば、ボトックス治療についてご説明させていただいております。歯の根を割らないため、歯槽膿漏を進めないためにも、有効な治療方法だからです。

その他、長時間の緊張状態が原因となって、毛細血管が圧縮し、血流が悪くなったときに起こる障害はたくさんあります。「肩がこる」「首がこる」だけではなく、糖尿病、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まることも知られています。食いしばりによる弊害は、歯を抜くことや入れ歯になってしまうということを超えた問題でもあります。

ただ、噛み合わせが強いというだけで、一律に、みんながボトックス治療をするべきだとは思っていません。たとえば、同じ骨格で同じ噛み合わせの強さを持つ人がいたとします。しかし、神経のない歯がいくつあるのかで治療方針は変わってきます。お口の中に詰め物や被せ物をした歯が何本あるのかでも治療方針は変わってきます。

神経のない歯では、歯の中に入っている動脈や静脈も取ってしまっているということです。つまり、血液の流れがなくなったということです。本来人間の身体は血が循環しています。ということは、血液が途切れると、その部分の組織は普通は腐ったり死んでしまうわけです。

でも、歯だけは硬組織に守られているので腐りません。その代わり、徐々に、弱くなっていきます。だから、その歯が神経を抜いてどれぐらい経過したのかでも脆さが異なってくるわけですね。

ハナミズキの例えをします。

まず、ハナミズキを蹴っ飛ばして折ろうとしたとします。でも、地面の中から栄養素をもらって、水分があるから決して折れません。それが台風かなにかで根こそぎ栄養素が持って行かれたとしたらどうでしょうか?その直後は同じように蹴っ飛ばしても折れないかもしれませんが、時間が経ってパサパサになると少しの衝撃であっという間に折れてしまいます。

神経のない歯でも同じなのです。そして神経のない歯には、土台を作り、その上に被せ物が被せてあります。硬い被せ物が被さっていることは、残された歯根の部分が割れやすくなるということでもあります。

歯科治療でのボトックス治療の目的は顔を小さくすることでも、皺を取ることでもありません。歯科治療においては、歯の根を割らない、歯根を吸収させない、痛みをとることも目的としているのです。

やる、やらないは別として、必要な場合には丁寧にご説明

ボトックス治療は受けるか受けないかでいえば、多くの場合で、受けた方がいいのは間違いありません。ただ、私たちは必ず治療しましょうという言い方は絶対にしません。治療を決定する権利はすべて患者様にあると思っているからです。

治療が必要と思われる人には、やる、やらないに関わらず、きちんと話すことを大切にしています。

もし、ボトックス治療をしないという結論ならば、では、いかにリスクを減らしていくのかを考える、というのが当院の方針です。

予防なのか、被せ物を変えるのか、口腔内のマッサージをするのかなど、必ず次の選択肢を提示することが、歯科医師の使命だと思っています。

治療の特徴などについて

治療後、筋肉が楽になりましたという方が多くいらっしゃいます。筋肉は「自分で縮めることは出来ても、勝手には伸びない」といった特徴があります。

この頃は整骨院などで「筋膜リリース」といった施術が流行っていますが、確かに、腕などは筋膜で守られているから効果があると思います。

けれど、顔の筋肉は筋膜で覆われていません。ということは、筋肉が交錯していて筋膜リリースが出来ないんです。

ボトックス治療では、イメージの通り、もちろん美容的な側面も期待できるでしょう。たとえば、唇が曲がっていて、いじわるそうな顔になってしまった女性が柔らかい笑顔を取り戻したり、シワが改善したり、血流が改善され肌が綺麗になったりといった喜ぶ声をいただきます。

ただし、そのような効果は目に見えてわかりやすいのでクローズアップされがちという怖さがあります。私は、美容は好きですが、ボトックス治療は美容目的のためだけに行うのではありません。そこだけが取り上げられてしまうのは本当に悲しいし、怖いことだなと思っていますね。あくまでそれは副次的効果としてそのような結果が期待できるというだけで、目的は歯の治療だと患者さんには繰り返しお伝えしています。

不安や疑問にも丁寧にお答えいたします

巷には、メリットやデメリットが過剰にいわれることもあります。「変な顔になってしまうのでは?」「毒を入れるんじゃないか?」と、そのような不安を持つ方も、中にはやはりいらっしゃいます。

確かに、ボトックス注射は、ドクターの技量によって結果が大きく左右されるので、治療を受ける際には十分に注意が必要です。けれど、それはボトックス自体が危険な訳ではありません。むしろ、ほとんどの方が知らないのは、小顔になるということの副作用でしょう。しかし、その美容分野でのデメリットは、歯科分野にとっては関係の無いことです。

それ以外にも私たちは安心してボトックス治療を受けていただくために、歯が欠けた経験、詰め物がすぐ取れてしまった経験、顎関節症の経験、歯にヒビが入ってないかなどの徹底的な検査、血圧、血糖値、家族の病歴などもきちんとお聞きします。説明に一番時間をかけ患者様のお悩みなどを解決することを欠かしません。治療内容を理解して頂いたうえで選択して貰うことが最良の治療です。当日に治療に進むことは絶対ありませんので安心してお越しください。